この記事で解決したいこと7日分を備えれば自宅に残れるのか、給排水やエレベーターを誰に確認すればよいのか分からない
結論: 7日分の備蓄があっても、在宅避難できると決まるわけではありません。まず災害リスク、現在の避難情報、建物・住戸の被害から滞在可否を判断します。安全にとどまれる場合に、内閣府の最低3日・できれば1週間という目安と自宅の実在庫を比べ、給水・排水・エレベーター・共用設備の運用を自宅の管理側に確認します。
7日分の備蓄があっても、マンションで在宅避難できると決まるわけではありません。最初に確かめるのは、その時点で自宅にとどまってよいかです。安全にとどまれる場合に、手元の水・食料・携帯トイレを数え、給排水やエレベーターなど建物固有の運用を確認します。
マンション防災では、在宅可否、住戸の実在庫、建物の運用を別々に記録することが要点です。「7日」という数字だけで三つを確認済みにしないようにします。
結論:在宅可否・住戸在庫・建物運用を分ける
三つの記録は更新時点が違う
防災メモは、次の三つの記録に分けます。
| 記録 | 確認すること | 主な確認元 | 更新する時 |
|---|---|---|---|
| 在宅可否 | 災害リスク、現在の避難情報、火災・ガス・建物・住戸・避難経路の状態 | 自治体等の現行情報、建物の周知、現場の状態 | 災害のたび、状況が変わるたび |
| 住戸在庫 | 今すぐ使える水・食料・携帯トイレ・薬・照明・衛生用品の実数 | 現物、表示、家庭の使用記録 | 使用・補充・期限・世帯条件の変化時 |
| 建物運用 | 給水、排水、エレベーター、非常用電源、連絡、支援、ごみ、共用備蓄 | 防災マニュアル、管理組合・管理会社・所有者等 | 文書・設備・管理体制・災害状況の変化時 |
1週間は備蓄期間であって滞在許可ではない
内閣府の家庭向け防災チェックは、各家庭で最低3日間、できれば1週間過ごせる備蓄を案内しています。一方、東京都の在宅避難案内は、耐震基準を満たすマンション等で被害が軽微な場合を在宅避難が可能となる条件として挙げ、家庭とマンション全体の両方の備えを求めています。
したがって、1週間は「住戸の備蓄をどこまで用意するか」の目安です。「1週間分があるから自宅は安全」「3日分しかないから直ちに避難所へ行く」という在宅可否の判定には使いません。
今ここにとどまれるかは災害ごとに更新する
平時は自宅の災害リスクと退出条件を確認する
内閣府は、市区町村が公表する水害、津波、火山、土砂災害等の情報と避難先を事前に確認するよう案内しています。地震だけを想定せず、自宅のハザードマップ、建物の耐震性、非常口・階段、火災時の避難経路を確認します。
在宅避難を続けにくくなる家庭条件も、物の備蓄とは別に記録します。たとえば、階段移動が難しい人、電源を必要とする機器や薬を使う人、乳幼児、介助が必要な人、暑さ・寒さの影響を受けやすい人、ペットがいる家庭では、相談先と移動先を平時に確認します。医療機器や薬は一般的な備蓄表で扱いを決めず、製品表示、医療機関、薬剤師、メーカー等の個別の確認先を持ちます。
発災後は「建物がマンションだから」では決めない
発災後は、次の順で現在の状態を更新します。
- まず身の安全を確保し、火災、ガス臭、落下物、浸水等の差し迫った危険から離れる
- 自治体等の避難情報、気象・津波情報、立入・避難に関する周知を確認する
- 建物・住戸の損傷、玄関と非常口までの経路、管理側の建物情報を確認する
- 水、トイレ、電源、室温、薬、支援の条件から生活を続けられるか見直す
危険が差し迫る時は、備蓄を数え終えることより安全確保を優先します。高層階にいることだけで、洪水、津波、土砂災害、火災等の避難行動を一律に置き換えません。場所と災害に対応する現行の公的情報に従ってください。
備蓄は公的な期間目安と自宅の実在庫を比べる
最低3日、できれば1週間という期間は、買った記憶ではなく、現在使える実数と比べます。次を同じ欄に記録します。
- 未開封または現時点で使用できる数量
- 消費期限・使用期限、開封後条件、保管条件
- 家族が実際に食べる量、飲む量、トイレを使う回数
- 調理、開封、充電、衛生処理に必要な水・熱源・器具
- 乳幼児、アレルギー、療養、服薬、介助、ペット等の個別条件
飲料水3Lは「表示目安だけの換算」と分かる表にする
内閣府の案内は、飲料水を1人1日3Lとして示しています。その数字だけを換算すると次のとおりです。
| 人数 | 3日分の飲料水 | 7日分の飲料水 | 7日分の水の重さ(容器を除く) |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9L | 21L | 約21kg |
| 2人 | 18L | 42L | 約42kg |
| 4人 | 36L | 84L | 約84kg |
この表は、飲料水の公的な表示目安を人数と日数で換算したものです。調理、手洗い等の衛生、服薬、乳幼児、ペットその他の用途を含む、各世帯の総必要量を示す表ではありません。必要な用途と量は自宅の生活条件から別に確認します。
高層階では、停電後に水を階段でまとめて運べるとは限りません。平時に私有部に置きますが、「低い2か所」「3日分と4日分」のように配置を固定しません。容器の取扱表示、床・棚の条件、避難動線、浸水リスク、管理規約を確認し、玄関、廊下、窓、避難ハッチ、共用廊下・階段を塞がない場所に分けます。詳しい数え方は防災用の水を人数と日数から確認するへ進んでください。
携帯トイレ35回は成人平均を使った備蓄目安
内閣府防災情報に掲載された経済産業省の案内は、成人の平均排せつ回数を1日5回とし、1人1週間35回分を備蓄目安として推奨しています。この目安を換算すると次のとおりです。
| 人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 15回分 | 35回分 |
| 2人 | 30回分 | 70回分 |
| 4人 | 60回分 | 140回分 |
成人平均を使った計画値であり、全員に足りる保証回数ではありません。年齢、体調、服薬、介助、普段の回数、製品1個で処理できる回数を確認し、実在庫を数えます。便袋・処理剤だけでなく、製品説明に沿った取り付けと処理、手指衛生、外袋、一時保管、建物のごみルールまでを一組にします。詳細は携帯トイレの必要数と使用・処理を確認するで分けて確認できます。
給水と排水は別の状態として記録する
蛇口・受水・排水を同じ使用可にしない
マンションでは、蛇口から水が出る、受水槽等から水を受け取れる、トイレや流しから排水できる、の三つは同じ状態ではありません。
| 項目 | 確認する内容 | 記録する答え |
|---|---|---|
| 給水 | 停電・断水時にどの設備が止まるか、給水場所・対象・容器・周知方法 | 誰の、いつの案内か |
| 排水 | トイレ、流し、風呂、洗濯の使用可否を誰が確認し、どう知らせるか | 使用可/停止/確認中を設備別に |
| 代替トイレ | 住戸内での使用方法、使用済み袋の一時保管、回収再開後の出し方 | 建物と自治体の現行ルール |
| 衛生 | 手洗い・清拭等の代替と、生活用水を使える条件 | 家庭の準備と使用条件 |
自治体の地震時例を自宅の運用へ一律転記しない
中央区のマンション防災冊子は、同区の地震時案内として、断水や排水管損傷のおそれから、排水管の安全が確認できるまで水洗トイレを含む排水を行わないよう示しています。これは中央区の大地震を対象にした案内例であり、全国の全災害・全建物の運用を決めるものではありません。
自宅では、自治体の現行案内と、その建物の防災マニュアル、管理組合・管理会社・所有者等からの周知を確認します。「水が出た」「隣の住戸が流した」「前回は使えた」を、今回の排水安全の確認に置き換えないようにします。
エレベーターと共用設備は自宅の建物で確認する
設備の有無より判断者と周知方法を記録する
東京都マンション防災ガイドブックは、建物自体が損傷を免れても、停電、断水、エレベーター停止等で自宅生活が難しくなる場合があると説明しています。設備の有無だけでなく、止まる条件、使える対象、判断者、周知方法を確認します。
| 設備・運用 | 平時に確認すること | 発災後に確認すること |
|---|---|---|
| エレベーター | 地震時管制、停電時の動作、閉じ込め連絡、保守窓口 | 使用可否と復旧周知の発信元・時刻 |
| 給水ポンプ・受水槽等 | 自宅の給水方式、非常用電源の対象、供給方法 | 現在の給水場所・対象・残量に関する周知 |
| 共用照明・オートロック・連絡設備 | 停電時の出入り、手動操作、放送・掲示・アプリの代替 | 現在使える経路と連絡手段 |
| 非常用電源 | 接続設備、起動条件、燃料・点検・優先順位 | 稼働中の対象設備と管理側の案内 |
| 機械式駐車場 | 停電・浸水・地震時の停止条件 | 立入・操作の可否 |
| 共用備蓄・ごみ | 品目、数量、対象、配布、一時保管、回収時の運用 | 今回適用される配布・保管ルール |
非常用電源があることは、全設備が一定時間使える保証ではありません。共用備蓄も、全居住者に同じ数量が自動配布されるとは限りません。答えが確認できるまで、住戸側の在庫に加算しないようにします。
地震時のエレベーターは稼働表示だけで決めない
地震時について、中央区はエレベーターが稼働していても余震等で再停止するおそれがあるため、階段を使うよう案内しています。これは同区の地震時案内です。自宅では災害種別、建物の防災マニュアル、管理側・保守事業者の現行周知を確認し、表示が動いていることだけで使用可と判断しません。
高層階は住戸・退出経路・階段を一続きで見る
高層階の揺れと退出経路を一続きで確認する
消防庁の地震防災マニュアルは、高層階では地震の揺れが長く、揺れ幅も大きくなる傾向があることと、非常口を日頃から確認することを案内しています。家具配置の案内は、出入口付近の背の高い家具を避け、重量のある家電を低い位置に置くよう示しています。
住戸内は、次の順に確認します。
- 寝る場所と普段長くいる場所へ、家具・家電・ガラス・収納物が倒れたり落ちたりしないか
- そこから玄関・非常口までを、転倒物や備蓄箱が塞がないか
- 玄関扉、非常口、階段、避難ハッチを使える状態か
- 靴、眼鏡、ライト、鍵、連絡先を安全に取り出せるか
- 階段を使えない人や時間帯がある時、誰にどの手段で支援を求めるか
固定方法と階段を使えない条件は個別化する
家具の固定方法は、壁下地、家具、床、製品説明、賃貸・分譲、管理規約で異なります。共用部分に関わる作業や穴あけは、所有者・管理側に確認します。在宅用の重い備蓄と持ち出す荷物も分け、7日分の水を持ち出し袋に詰め込みません。避難時の荷物は防災リュックの中身を優先順位で整えるに分けてください。
住戸内の停電対策は、明かり・連絡・体温管理・調理の順で備えるへ進みます。一人分の生活条件と狭い住戸での配置は、一人暮らしの防災を整えるで別に確認できます。
管理側への質問は回答元・日付・未確認を残す
行動に使える答えまで質問を具体化する
「設備はありますか」だけでは、発災後の行動につながりません。分譲なら管理組合・管理会社等、賃貸なら管理会社・所有者等、自宅の窓口に合わせ、次のように聞きます。
| 項目 | 質問の例 |
|---|---|
| 建物情報 | 「建物の被害、在宅・退去、立入制限は、誰がどの手段で知らせますか」 |
| 給水・排水 | 「給水場所と対象、トイレ・流し等の排水再開は、誰がどう知らせますか」 |
| エレベーター・電源 | 「使用可否、復旧、閉じ込め連絡、非常用電源の対象は、どの文書で確認できますか」 |
| 連絡・支援 | 「放送・掲示・アプリが使えない時の連絡と、支援が必要な居住者の相談先は何ですか」 |
| 共用備蓄 | 「品目、数量、対象者、保管場所、配布条件と、家庭に求める備蓄は何ですか」 |
| ごみ | 「携帯トイレを含む災害ごみを、収集再開までどこに保管し、誰が周知しますか」 |
回答者・文書名・確認日・状態を残す
マンション管理センターの防災対策Q&Aも、ハザードマップと避難経路、防災体制・マニュアル、家庭と共用部の備蓄、訓練、地域連携をまとめて確認する構成です。東京都のガイドブックも、各マンションがそれぞれの状況に応じて備えることを前提にしています。
回答には、聞いた内容だけでなく、回答者または文書名、確認日、対象となる災害、状態を残します。状態は「確認済み」「文書の確認待ち」「発災後の周知待ち」「未確認」「自宅では対象外」など、分からないことが消えない書き方にします。
今日やること:未確認の一項目を更新できる記録にする
一項目を選び、更新条件まで書く
最初から全設備を埋めようとせず、給水、排水、エレベーターのうち、自宅で答えが分からない一項目を選びます。次の欄を作ってください。
確認項目:
現在分かっていること:
確認先(文書・窓口):
確認した日:
対象となる災害・条件:
状態(確認済み/周知待ち/未確認など):
次に見直す条件:
管理側の連絡先が分からない場合は、入居時資料、管理規約、防災マニュアル、掲示、管理アプリ等から窓口を特定し、その資料名と確認日を残すところまでを完了にします。続けて、水と携帯トイレの現物を数え、公的な3日・1週間の目安との差を記録します。
見直しは変化をきっかけにする
見直しは固定の「半年ごと」だけにしません。使った、期限が近づいた、家族・健康・ペットの条件が変わった、転居した、管理会社・設備・防災マニュアル・自治体案内が変わった、訓練や実災害で運用が分かった時を更新のきっかけにします。建物が定める定期訓練・点検の機会も使います。
まとめ:7日分より先に三つの状態を分ける
在宅可否を最初に更新する
マンション防災では、在宅可否、住戸の実在庫、建物の運用を一つのチェック印で済ませません。災害時は、現在の公的情報と建物・住戸の状態から、まず自宅にとどまれるかを更新します。
数量は公的な目安と家庭条件を分ける
安全にとどまれる場合は、内閣府の最低3日・できれば1週間という備蓄目安と現物を比べます。1人1日あたりの飲料水3Lや携帯トイレ5回は公的な計画値として換算し、家庭固有の必要量を別に足します。最後に、給水、排水、エレベーター等の未確認を一項目選び、確認元・確認日・状態を残してください。
よくある質問
マンションの防災備蓄は7日分が義務ですか?
一律の義務として示す数字ではありません。内閣府は各家庭で最低3日間、できれば1週間過ごせるよう飲料水や食料等を備蓄するよう案内しています。これは備蓄計画の目安であり、建物や周辺が安全か、在宅避難を続けられるかを保証する日数ではありません。
マンションで2人暮らしなら水は42L必要ですか?
内閣府が示す飲料水1人1日3Lを7日分に換算すると、2人で42Lです。ただし、これは飲料水の表示目安を換算した量で、調理・衛生、乳幼児、服薬、ペット等を含む世帯全体の必要量を確定する数字ではありません。実在庫と家庭条件を別に確認します。
携帯トイレは1人35回分で足りますか?
内閣府防災情報に掲載された経済産業省の案内では、成人の平均を1日5回とし、1人1週間35回分を備蓄目安としています。年齢、体調、服薬、介助、普段の回数、製品の使用単位で変わるため、35回を全員に足りる保証にはせず、自宅の使用想定と実数を確認します。
断水していなければマンションのトイレを流してよいですか?
蛇口から水が出ることと、建物内で安全に排水できることは別です。地震時は排水管が損傷する場合があり、中央区のマンション防災冊子は排水管の安全確認まで水洗トイレ等を使わないよう案内しています。これは同区の地震時案内の例です。自宅の自治体と管理側の現行周知を確認してください。
地震後、動いているエレベーターは使えますか?
稼働表示だけで安全とは判断できません。中央区の地震時案内は、再停止のおそれがあるため稼働していても階段を使うよう示しています。災害の種類、設備、復旧状況で対応は異なるため、自宅の防災マニュアル、管理側、保守事業者の現行案内を確認します。
マンションの共用備蓄があれば家庭の備蓄は不要ですか?
共用備蓄の品目、数量、対象者、配布条件、取り出せる状況は建物ごとに異なります。内容と運用を確認できるまで自宅分から差し引かず、薬、アレルギー対応食、乳幼児用品、ペット用品等は家庭固有の備えとして分けて数えます。





