この記事で解決したいこと薬や器材を何と一緒に持ち出し、食事が変わった時に何を記録し、主治医と連絡できない時にどこへ相談するか分からない

結論: 糖尿病の災害への備えは、現在の治療情報を紙と電子の二系統で残し、本人が使う薬・注射器材・血糖測定等の器材・低血糖時に使う物を一組にするところから始めます。薬の量や使い方、食事・水分、シックデイ時の対応は記事で決めず、平時に主治医・薬剤師と本人用の計画を作ります。避難先では糖尿病があること、薬名・最終使用時刻、食事・水分・測定状況、必要な器材を早めに伝え、残りが少なくなる前に自治体の保健医療窓口や日本糖尿病学会の現行災害情報へつないでください。

糖尿病がある人の災害への備えは、特別な非常食だけを増やすことではありません。現在の治療を別の医療者へ伝えられる記録と、本人が使う薬・注射・測定器材を一組にし、食事や体調が変わった時の本人用計画と相談先を主治医・薬剤師と決めることが中心です。

この記事は編集部調べとして、準備と公式相談へのつなぎ方を整理します。薬・インスリン量、血糖値ごとの対応、食事・水分、シックデイ時の判断は個人差が大きいため、本文だけで変更しません。

治療情報を一枚と電子記録の二系統で残す

厚生労働省の災害対策マニュアルは、糖尿病の人について、治療薬・インスリン製剤・ブドウ糖等をまとめ、糖尿病関連手帳、お薬手帳、血糖自己測定器等も準備するよう示しています。

最初に、医療者へ短時間で見せられる「治療情報カード」を作ります。

欄 記録する内容
本人 氏名、生年月日、緊急連絡先、アレルギー
病気 糖尿病の種類、合併症、ほかの持病
医療 主治医・医療機関、薬局、診察券番号等
薬 正確な製品名、規格、普段の使い方、最終使用時刻
器材 注射器材、ポンプ・CGM・測定器等の名称と必要品
個別計画 低血糖・食事が取れない時等に主治医から受けた指示
更新 作成日、治療が変わった日、次回確認日

紙はお薬手帳・糖尿病連携手帳等と一緒に防水袋へ入れます。電子は厚生労働省「電子版お薬手帳」や、薬袋・器材ラベルの写真等を使います。スマホだけにせず、停電・電池切れに備えて紙も残してください。

薬名だけでなく器具と使い方の情報をそろえる

「白い錠剤」「青いペン」では別の医療者が特定できません。外箱、薬袋、ラベルを見て、製品名、規格、器材名をそのまま記録します。

ただし、カードを見た家族が量を変更するための表にはしません。平時の使い方を正確に伝え、災害時の変更は医師・薬剤師等へ相談するための入口にします。

家族へ見せる場所と範囲を決める

本人が話せない場合に備え、家族・支援者へ次を共有します。

  • 紙カード、お薬手帳、薬・器材がある場所
  • どの医療者・薬剤師・救護所へ見せるか
  • 本人が普段行っている低血糖時の対応と、119番等へつなぐ条件
  • 家族が自己判断で薬量を変えないこと

個人情報を持ち出し袋の外側へ表示せず、必要な相手へ提示できる収納にします。高齢の家族全体の備えは高齢者の防災グッズへ分けます。

薬・注射・測定器材を本人用の一組にする

現在使っている物を、名称と役割ごとに確認します。

  • 飲み薬、インスリン等の注射薬
  • 注射針、消毒等、普段の投与に必要な物
  • 血糖測定器、穿刺器具、センサー等
  • インスリンポンプ・CGM等の交換品、電源・充電に必要な物
  • 主治医と決めた低血糖時に使う物
  • 使用済み針等を安全に保管する容器
  • 紙の治療情報、連絡先、本人確認に使う情報

一般的な防災セットには本人の処方薬や専用器材が入りません。避難所の持ち物へ本人用の治療継続セットを追加します。

保管方法と交換時期は製品表示・医療者へ確認する

薬・インスリン・センサー等は、製品と使用状態により保管条件が異なります。「冷やせばよい」「常温なら大丈夫」と一括りにしません。

次を製品表示・添付文書・メーカーの現行案内で確認し、分からなければ薬剤師へ相談します。

  • 未使用と使用中で保管条件が違うか
  • 高温、直射日光、凍結、水濡れをどう避けるか
  • 使用開始日・交換日をどこへ記録するか
  • 停電、保冷不能、浸水等が起きた時の相談先

温度状態が不明な物を自己判断で使う・捨てる・他人と共有することは避け、製品名と置かれた状況を伝えて確認します。

日数を自己判断で決めず平時に相談する

必要日数は、薬・器材の種類、処方、保管、通院間隔、地域の災害想定で変わります。「全員一律に何日分」と決めず、主治医・薬局へ次を相談します。

  1. 無理なく余裕を持たせられる量
  2. 古い物から使って期限を更新する方法
  3. 持ち出し分と自宅の主在庫をどう分けるか
  4. 通院先・薬局が使えない時の連絡順

処方外の買い足しや、残すための服薬・注射中断はしません。

食事・水分・低血糖時の個別計画を主治医と作る

避難生活では、食事の量・時刻・内容、水分、運動、睡眠が普段と変わります。だからこそ、災害時に記事を見て薬量を計算するのではなく、平時に本人用の対応を医療チームと確認します。

確認する質問例です。

  • 食事が遅れる・少ない・取れない時に、誰へ連絡するか
  • 嘔吐・下痢・発熱等で食事や水分が取れない時の本人用指示は何か
  • 低血糖が疑われる時に本人が使う物、再確認、相談・救急の条件は何か
  • 測定器・センサー・ポンプが使えない時の代替手順は何か
  • 普段の薬・インスリンが入手できない時、何を伝えるか

回答を主治医・薬剤師に書いてもらい、カードと一緒に更新します。

災害用メニューで薬量を決めない

配給や非常食の糖質量を見て、本人・家族が独自に薬やインスリン量を変えません。食品表示がない、食べられる量が読めない場合もあります。

食物アレルギー等がある場合は非常食のアレルギー対応を確認しつつ、糖尿病の食事判断は医療者へ相談します。普段食べ慣れ、表示を確認できる食品をローリングストックへ入れておくと、説明材料を残しやすくなります。

摂取と測定・症状を短く記録する

紙一枚で、次を時系列に残します。

  • 食べた・飲んだ時刻とおおよその量
  • 血糖測定値や機器の表示と時刻
  • 薬・インスリンを使った時刻
  • 低血糖が疑われる症状、発熱、嘔吐・下痢等
  • 医療者へ相談した時刻と受けた指示

この記録は自己診断表でなく、別の医療者へ状況を渡すためのものです。

避難先で糖尿病と必要支援を早く伝える

避難所・車中泊・在宅避難のどこにいても、受付、医療救護、巡回する保健師・薬剤師等へ、糖尿病があることと必要支援を伝えます。

伝える順番は次のとおりです。

  1. 糖尿病の種類と、インスリン・ポンプ等を使っているか
  2. 薬・器材の正確な名称と残り
  3. 最後に薬・インスリンを使った時刻
  4. 食事・水分・測定状況、現在の症状
  5. 主治医・薬局の連絡先と本人用の指示

プライバシーが必要でも、治療継続に必要な情報は担当者へ早めに伝えます。避難所外で支援につながる方法は在宅避難者の支援物資・登録で確認できます。

薬や器材が切れる前に公式相談へつなぐ

日本糖尿病学会の災害関連情報は、災害ごとの相談窓口や支援情報を更新しています。2026年の熊本地震でも糖尿病がある人向けの相談窓口が案内されました。

災害名、地域、更新日を確認し、次へつなぎます。

  • 主治医・かかりつけ医療機関、薬局
  • 避難所の医療救護、保健師、薬剤師
  • 自治体・都道府県の保健医療窓口
  • 日本糖尿病学会等がその災害について案内する窓口

残量がゼロになる直前まで待たず、現在地・連絡先・薬や器材の名称・残量・移動可否を伝えます。

意識や呼吸等の緊急変化は119番へつなぐ

意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい、けいれん、呼吸が苦しい、自力で飲み込めない等の緊急変化がある時は、記事で血糖を推測して様子を見ず、119番、施設職員、周囲の人へ助けを求めます。

家族は、本人用に医療者から教わった手順の範囲を超えて、無理に飲食させたり、他人の薬を使ったりしません。

三か月ごとに治療継続セットを更新する

薬の処方や器材が変わると、古いカードは誤情報になります。三か月ごと、または治療変更・引っ越し・家族の連絡先変更のたびに、次を同じ日に確認します。

  1. 紙カード・お薬手帳・糖尿病関連手帳の更新日
  2. 電子版お薬手帳、薬袋・器材ラベル写真の閲覧
  3. 薬・器材・低血糖時の本人用品の期限と残量
  4. 主治医、薬局、自治体の保健医療窓口
  5. 家族が保管場所と提示先を説明できるか

一度作って終わりにせず、普段の受診日に「災害時にこの計画でよいか」を確認すると更新しやすくなります。

まとめ:治療情報・本人用品・個別計画・相談先を一組にする

糖尿病の災害への備えは、薬だけを別袋へ入れて終わりではありません。紙と電子の治療情報、本人用の薬・注射・測定器材、食事や低血糖時の本人用計画、主治医・薬局・公式災害窓口を一組にします。

薬量や食事を自己判断で変えず、平時に主治医・薬剤師と確認してください。災害時は残量が尽きる前に現在地と治療情報を伝え、公式の相談先へつなぐことが優先です。

よくある質問

糖尿病の薬は災害用に何日分備えますか?

処方、薬・器材の種類、保管、通院間隔で異なるため、全国一律の日数をこの記事では決めません。主治医・薬剤師へ、余裕を持たせられる量、更新方法、保管、持ち出し分と自宅分の分け方を相談してください。自己判断で服用・注射の回数や量を変えません。

インスリンは停電したら捨てますか?

停電したという理由だけで自己判断で捨てません。製品ごとに未使用・使用中の保管条件が異なります。製品名、使用開始日、温度・直射日光・凍結等の状態を記録し、添付文書・メーカーの現行案内を確認したうえで、主治医・薬剤師へ使用可否を相談してください。

避難所で食事が変わったら薬を減らしますか?

記事や周囲の人の判断で薬・インスリン量を変えません。食べた量と時刻、水分、測定値、症状、最後に薬を使った時刻を記録し、平時に主治医と決めた本人用の低血糖・シックデイ対応に従います。判断できない時は医療救護・薬剤師・保健師等へ早めに相談します。

お薬手帳はスマホだけでよいですか?

停電、通信障害、電池切れ、端末破損に備え、紙と電子の二系統が安心です。お薬手帳、糖尿病連携手帳等の紙の写しに更新日を付け、電子版お薬手帳や写真も併用します。家族と、どこにあり誰へ見せるかも決めます。

主治医と連絡できない時はどこへ相談しますか?

避難所の医療救護・保健師・薬剤師、自治体の保健医療窓口、地域の医療機関・薬局、日本糖尿病学会が災害ごとに掲載する相談情報を確認します。薬・器材が切れる直前まで待たず、現在の治療情報と残量を伝えてください。意識や呼吸等に緊急の変化がある時は119番等へつなぎます。