この記事で解決したいこと勤務先に何が何人分あり、自分の食事・薬・眼鏡・充電等の不足をどこまで個人ロッカーで補えばよいか分からない

結論: 職場の3日分は、帰宅困難者の一斉帰宅を抑え、安全な事業所で待機するための備蓄です。まず会社へ、対象人数、3日分の水・食料・毛布、トイレ等の量、保管場所、配布方法、個別配慮、更新担当を確認します。そのうえで、会社が用意する共通備蓄、個人ロッカーで補う食事制限・常用薬・予備眼鏡・充電等、毎日持つ物を三列に分けます。内閣府の目安は1人3日で水9L、主食9食、毛布1枚ですが、全国一律の法的義務とは決めつけず、地域の条例と勤務先の規程を確認してください。

職場の防災備蓄3日分は、帰宅用の荷物ではありません。交通が止まった直後に大勢が一斉帰宅せず、安全を確認できた勤務先で待機するための水・食料・生活用品です。

個人で大量に買う前に、会社が誰へ何を何日分配るかを確認します。会社の共通備蓄で埋まらない食事条件、常用薬、眼鏡、衛生用品、充電等だけを個人ロッカーで補い、毎日持つ物とは分けて管理します。

職場の3日分は帰宅せず安全に待機するための備蓄

内閣府の2026年1月改定ガイドラインは、大規模地震の発生直後に「むやみに移動を開始しない」ことを基本原則としています。事業所には、建物・周辺の安全を確認したうえで従業員等を一定期間留め、水・食料・毛布等の3日分を備える考え方が示されています。

3日分という数字は、発災後3日目まで救命救助・消火等が中心になる想定を踏まえた待機の基準です。「72時間が過ぎたら全員が帰る」「備蓄を持ってすぐ歩き始める」という意味ではありません。

発災時の帰宅可否は、帰宅困難者になった時の判断手順で扱います。この記事では、その判断を待つ間に職場で使う物資と管理だけを整理します。

全国一律の法的義務と決めつけず地域・会社の規程を確認する

内閣府のガイドラインは全国で参考にできる考え方ですが、すべての事業者に同じ数量を一律に義務付ける法律だとは説明できません。

たとえば東京都帰宅困難者対策条例は、事業者が施設の安全等を確認して一斉帰宅を抑え、従業員の3日分の飲料水・食料等を備蓄するよう努めることを定めています。これは東京都の条例です。

勤務先の所在地により条例・指針は異なります。確認先は、所在地の自治体、防災・危機管理部門、会社の防災計画・BCP、総務・施設管理担当です。

先に会社備蓄の対象・量・配布方法を確認する

「倉庫に箱がある」だけでは、自分が3日間待機できるか判断できません。総務・防災担当へ、少なくとも次の七点を確認します。

  1. 対象は正規・非正規を含む全従業員か、来客・委託先等も含むか
  2. 何日分・何人分を、どの出社人数で計算しているか
  3. 水、食料、毛布、トイレ、衛生、照明、情報・充電に何があるか
  4. どこに保管し、地震後も安全に取り出せるか
  5. 誰が、いつ、どこで、どの単位で配るか
  6. アレルギー、宗教、嚥下、持病、障害等の個別条件をどう申告するか
  7. 期限確認、入替え、訓練を誰がいつ行うか

口頭で「たぶんあります」と聞いて終わらず、社内ポータル、防災マニュアル、備蓄台帳等の正本を確認します。保管場所が立入禁止区域になる、鍵を持つ担当者が不在になる、といった取り出し条件も必要です。

会社提供・個人差分・当日携行の三列へ分ける

確認結果を一枚の三列へ分けます。

区分 役割 例
会社提供 多人数へ共通に配る 水、主食、毛布、非常用トイレ、衛生用品、照明、ラジオ等
個人差分 共通品で合わない不足を補う 食事制限対応食、常用薬、予備眼鏡、個人用衛生用品、充電器等
当日携行 ロッカーへ置きっぱなしにできない 身分証、鍵、スマホ、服薬情報、連絡先、日常の薬等

同じ物を三列すべてへ重複させる必要はありません。一方、薬・眼鏡・連絡先のように、ロッカーへ一組、通勤バッグへ一組と冗長化した方がよい物もあります。勤務先のルール、本人の必要性、保管条件で決めます。

3日分の基準は水9L・主食9食・毛布1枚を起点にする

内閣府ガイドラインの「一斉帰宅抑制における従業員等のための備蓄の考え方」は、雇用形態を問わず事業所内で勤務する全従業員を対象に、1人3日分を次のように示しています。

品目 1人3日分の目安 確認すること
水 9L(1日3L) 飲用・調理、容器、配布単位、保管分散
主食 9食(1日3食) 加熱・水の要否、食事制限、賞味期限
毛布 1枚 代替する保温シート、衛生、保管場所
その他 品目ごとに算定 トイレ、衛生、敷物、照明、情報、救急等

これは最低限の箱数を個人に買わせる表ではありません。実際の会社備蓄は、最大同時出社人数、来客、在宅勤務・シフト、複数拠点、建物設備、季節、事業継続等を含めて組織が計算します。

食料は、賞味期限だけでなく「そのまま食べられるか」「配布時に水や熱源を奪わないか」「食事条件へ対応できるか」も確認します。家庭用の献立やローリングストック量は食料備蓄3日分が所有し、職場では会社が配れる単位と個人差分へ絞ります。

トイレ・衛生・照明・情報は職場条件から必要量を出す

トイレは水や食料と同じく、待機継続に欠かせません。東京都の事業所防災リーダー向け資料は、一人3日分の参考として非常用トイレ15回分、衛生用品、寝具、充電器、ラジオ、電池、ランタン等を例示しています。

ただし「15回」は東京都資料の目安です。トイレ数、排水可否、勤務者の構成、夜間勤務、来客受入れ等を踏まえ、会社が必要量を計算します。トイレの種類・回数・使い方を家庭用備蓄と混ぜず、災害用トイレの備えを参考に職場の運用へ置き換えてください。

照明と情報手段は、物があるだけでなく、誰が使い、どこへ置き、電池・充電をどう維持するかまで決めます。私物スマホだけに全館の情報取得を依存させません。

個人ロッカーには会社で埋まらない差分を置く

会社の品目・量を確認した後に、空欄だけを個人ロッカーへ足します。候補は次のとおりです。

  • 食物アレルギー、宗教、食形態等に合う常温食品
  • 日常使用する薬、服薬情報、お薬手帳の控え
  • 予備眼鏡、補聴器関連品等、本人に合う物
  • 生理用品、尿取り用品、マスク等の個人用衛生用品
  • 携帯電話用電源と、自分の端末に合う短いケーブル
  • 歩きやすく足を保護できる靴、靴下
  • 季節に合う薄手の防寒・暑さ対策用品
  • 家族・会社の連絡先と安否連絡ルールの紙控え

大量の防災リュックをロッカーへ押し込むのではなく、一つずつ「会社備蓄にない」「自分に必要」「職場で安全に保管できる」を確認します。防災リュックの中身は避難時の持出しを所有するため、職場待機の箱と役割を分けます。

薬・眼鏡・食事制限は本人しか分からない情報も添える

薬は「職場へ一律何日分置く」と決められません。処方・保管温度・使用期限・持出し方法について、主治医・薬剤師・医療機関へ事前に相談します。会社へ伝える範囲も本人が決め、必要なら緊急時の連絡先と支援方法を共有します。

食品は、原材料表示が読める状態で保管し、食事制限の理由を他人が推測しなくてよいメモを添えます。眼鏡や補聴器等も、本人の名前、保管場所、使い方・電源の情報を必要な範囲で残します。

個人情報を机上へ常時掲示する必要はありません。封筒、社内台帳、本人携行等、会社の個人情報ルールに合う方法を選びます。

保管場所・期限・配布役を一つの台帳で管理する

備蓄は数量だけでなく、発災後に取り出して配れる状態で管理します。

台帳の欄 記録例
対象・数量 最大同時出社人数、対象外・追加対象
品目 水、食料、トイレ、毛布、衛生、照明等
場所 建物・階・部屋・棚、分散先
期限 賞味・使用期限、電池確認日
配布 責任者、代行者、配布場所・単位
安全 転倒・浸水・高温・火気・害虫対策
更新 最終確認日、次回月、廃棄・寄付・入替方法

水等の重い物は棚の高所へ置かず、避難経路や扉を塞がない位置へ分散します。直射日光、高温、凍結、湿気、害虫等、製品表示に反する場所へ置きません。燃料・電池・医薬品等は一つの箱へ無条件に混載せず、法令・製品表示・施設規程を確認します。

配布しやすい単位へ分け、担当者が不在でも代行者が台帳を読めるようにします。期限が近い食品は訓練・配布等で入れ替えますが、勝手に持ち帰る運用にはせず、会社の資産・衛生・寄付ルールへ従います。

出社人数と働き方が変わった時も見直す

年1回だけでなく、次の変化でも数量を見直します。

  • 出社人数・シフト・派遣・委託の構成が変わった
  • フリーアドレス、拠点統合、移転、増床をした
  • 在宅勤務率や出社曜日の偏りが変わった
  • 新しい食事・介助・医療上の配慮が必要になった
  • 備蓄場所の工事、浸水想定、入退室権限が変わった
  • 訓練で配布・トイレ・充電に不足が見つかった

個人ロッカーも異動・退職・長期休業・薬の変更時に更新します。持ち主不明の食品や薬を残さないよう、名前と見直し月を付けます。

発災後は備蓄を持って帰らず会社の待機手順に従う

発災後は、まず自分の身を守り、建物と周囲の安全確認、会社の点呼・安否確認、待機場所の案内に従います。備蓄倉庫へ人が集中したり、責任者の確認前に箱を開けたりしません。

大まかな順序は次のとおりです。

  1. 揺れ・火災・津波等から身を守る
  2. 建物・設備・周辺の安全確認を待つ
  3. 点呼と短い安否連絡を行う
  4. 指定された安全な区画へ移る
  5. 会社の配布手順で水・食料・トイレ等を受け取る
  6. 個人差分を使い、足りない条件を担当へ申告する
  7. 交通・地域・会社の公式情報を待つ

個人ロッカーの靴や充電器も、「今すぐ徒歩帰宅するため」ではなく、待機中の安全と情報維持に使います。帰宅開始は備蓄の残量だけで決めません。

建物が危険なら備蓄より安全な場所への移動を優先する

3日分がそろっていても、建物に損傷、火災、津波、浸水、危険物漏れ等があれば留まりません。施設管理者、消防、警察、自治体等の誘導で安全な場所へ移動します。

持てるだけ備蓄を回収しようとして避難を遅らせないでください。会社の待機方針は、安全な施設であることが前提です。移動後の物資は、移動先の運営者と会社の案内を確認します。

今日、総務へ七つ質問して自分の不足を一行にする

今日行うことは、商品購入ではありません。総務・防災担当へ次を確認します。

  • 誰が対象か
  • 何人・何日分か
  • 水・食料・毛布・トイレ等は何があるか
  • どこにあるか
  • 誰がどう配るか
  • 個別条件をどこへ伝えるか
  • 誰がいつ更新するか

回答を得たら、「会社にないため、私は予備眼鏡と指定食品と充電ケーブルを個人ロッカーへ置く」のように、自分の不足を一行にします。確認できない項目は「ある前提」にせず、担当へ再確認する項目として残してください。

まとめ:会社備蓄を確認して個人差分だけを補う

職場の防災備蓄3日分は、安全な場所で待機するための備蓄です。会社の対象・量・保管・配布・個別配慮・更新を確認し、内閣府の水9L・主食9食・毛布1枚等を起点に不足を見つけます。

その後、会社提供・個人ロッカー・当日携行の三列へ分けます。個人で買い足すのは、会社で埋まらない自分固有の差分です。まず七つの質問を担当へ送り、一行の不足リストを作ってください。

よくある質問

職場の防災備蓄は何日分必要ですか?

内閣府の帰宅困難者対策ガイドラインは、従業員等が事業所内で待機できるよう3日分の水・食料・毛布等を備蓄する考え方を示しています。ただし災害、地域、建物、勤務形態で必要量は変わるため、自治体の条例・指針と勤務先の防災計画を確認してください。

職場の3日分は1人あたりどのくらいですか?

内閣府の目安は水9L、主食9食、毛布1枚です。その他は品目ごとに必要量を算定します。東京都の事業所向け資料では、非常用トイレ15回分を1人3日分の参考値としていますが、全国共通の固定値とはせず、職場の人数・設備・地域指針で確認してください。

会社に備蓄があれば個人ロッカーの防災グッズは不要ですか?

会社備蓄の対象・量・配布条件を確認してから判断します。常用薬、予備眼鏡、食物アレルギー等へ配慮した食品、個人用の衛生用品、携帯電話用電源、歩きやすい靴等は共通備蓄で合わないことがあります。会社の保管ルールに従い、確認できた不足だけを補います。

職場備蓄は社員が持ち帰ってよいですか?

発災時の配布対象・時期・数量は勤務先の防災計画と責任者の案内に従います。職場備蓄は安全な施設内での待機を支える物資であり、徒歩帰宅用とは限りません。自己判断で持ち出さず、帰宅を始める条件も公式情報と会社の指示で確認してください。

職場備蓄の法的義務は全国共通ですか?

全国の全事業者に同一数量を一律に義務付ける規定として説明はできません。内閣府はガイドラインで3日分の備蓄を示し、東京都では条例により事業者へ3日分の飲料水・食料等の備蓄を努力義務として定めています。所在地の自治体と勤務先の現行規程を確認してください。