この記事で解決したいこと生活用水の用途が多く、飲料水と同じ量でよいのか判断できない
結論: 生活用水は用途ごとに必要な備えを決めます。飲用不可の水を手洗い・食器洗い・清拭へ回せるとは限りません。使える水を確認し、節水用品と携帯トイレを組み合わせます。
生活用水の備えは、何に使うかと、その水を使えるかを分けて考えるところから始めます。「飲用不可」と書かれた水でも、手洗い・食器洗い・体を拭く用途に使えるとは限りません。使える水の確保に加え、水を減らせる用品と、流さず使う携帯トイレを組み合わせます。
生活用水と飲料水は用途が違う
ここでは、飲む・調理する以外に使う水を生活用水として整理します。これは使い道の分類です。「生活用水」と名付けても、水質や衛生状態が変わるわけではありません。
| 使いたいこと | 備えるときに分けて確認すること |
|---|---|
| 飲む・調理する | 飲用できる水を衛生的に保管し、人数と日数から量を計算する |
| 手を洗う・体を拭く | 身体に使える水かを確認する。飲用不可の表示だけで、身体にも使えると判断せず、用途に合う衛生用品も備える |
| 食器を洗う | 食品や口に触れるものを洗う水として使えるかを確認する。残り湯や水質不明の水で代用しない |
| 床や屋外を掃除する | 水の提供元が認める用途を確認する。清掃用の水を、食卓・調理器具・身体へ使い回さない |
東京都保健医療局の断水時の案内(PDF)は、備蓄した飲料水や給水を飲用・手洗い・料理に使う一方、災害後の井戸水は水質確認まで飲用や手洗いに使わないよう案内しています。用途が分からない水は、使える量に数えず、自治体や提供元へ確認します。
農林水産省の家庭備蓄情報にある1人1日およそ3Lは、飲料・調理用の目安です。手洗い等にも同じ量を上乗せする決まりではなく、3Lだけで洗い物まで足りるという意味でもありません。飲料・調理用の計算は水の備蓄量で確認できます。
自宅で困る用途から、水と代替用品を選ぶ
水を使う場面を思い浮かべ、次の中から自宅で先に備えたいものを選びます。家族の介助や普段の暮らしにより、優先順位は変わります。
量を見積もる出発点は、選んだ用途で普段1回に使う水量や用品の数、1日の回数、備える日数です。水を減らせる用品を組み合わせたうえで、必要な分と手持ちを比べます。飲料・調理用に割り当てた同じ水を、生活用水の量にも重ねて数えません。
手と体を清潔にする
手洗いに使える水が限られる場合は、手指の汚れを拭き取る用品や手指用消毒剤、体を拭くためのシートを用意します。「手指用」「身体用」「物用」の表示と使い方を確認し、住まいの掃除用製品を皮膚へ使わないよう分けます。
農林水産省の災害時の食中毒予防では、水が不足するときは見える汚れを拭き取り、手指用アルコールで消毒する方法を案内しています。ウェットティッシュで拭くだけで十分な消毒ができるとは限りません。食品を扱う使い捨て手袋も、手を清潔にする代わりにはなりません。汚れ・破れがあるときや食品以外を触ったときは交換し、消毒して再使用しないでください。
食器と調理器具の汚れを減らす
皿に食品用ラップを敷く、使い捨て容器を必要な分だけ使うなど、洗う物を減らします。ラップや容器の耐熱性と使用上の注意も確認してください。ローリングストックに開封して食べられる食品を含めれば、断水・停電時の調理や洗い物を減らせます。
それでも洗浄が必要な食器や調理器具には、用途に適した清潔な水を使います。農林水産省の断水・浸水時の食品衛生情報を確認し、浸水した物の扱いを通常の洗い物と一緒にしないでください。
清掃用の水は、使える場所まで確かめる
「掃除に使える」という案内が、食卓や調理器具にも当てはまるとは限りません。例えば横浜市の災害時の衛生対策では、災害応急用井戸の水は屋外清掃等に使い、食材・食器の洗浄や入浴等には使わないと区別しています。
地域や水源によって条件が異なります。井戸を利用する予定があれば、自治体の情報から提供元・指定用途・災害後の案内を確かめます。
トイレ用の水より携帯トイレを先に備える
水が手元にあっても、排水管や下水道が損傷していれば流せません。横浜市の災害時トイレの案内でも、集合住宅は管理組合等のルールを確認し、排水管などに異常があれば携帯トイレを使うよう案内しています。
自治体・管理会社等から使用可否を確認できない間は、自己判断で試し流しをせず、携帯トイレを使います。排水の制限は洗面所や台所にも関わるため、洗い物やくみ置き水の処分も、地域と建物の案内に従ってください。水道の復旧後も、水質や使い始めの注意について水道事業者の案内を確認します。
流せることが確認できても、バケツの水量や流し方は便器の機種ごとの説明書で確かめます。浴槽水を、携帯トイレの備蓄の代わりには数えません。
くみ置き・浴槽水・給水を同じ条件で扱わない
水道水を清潔な容器へくみ置く
東京都水道局のくみ置き案内では、清潔でふたのできる容器へ、蛇口から口元まで水道水を入れ、直射日光を避けて保管します。保存する水は浄水器を通したり、沸かしたりしない方法です。平時の水道水の備えであり、災害後の水質不明の水を安全に変える手順ではありません。
入替えの期間と保管条件は、利用する水道事業者の案内で確認します。地域の案内を見て、容器にくんだ日・水の由来・入替え予定日を書きましょう。容器の洗浄方法も守ります。
期間を過ぎた水を生活用水に回す場合も、手洗いや食器洗いに使えると一括りにしません。くみ置きの方法・保管履歴と利用先を確認し、判断できなければ水道事業者等へ相談します。見た目がきれいでも、飲める根拠にはなりません。
浴槽の残り湯を備えの前提にしない
小さい子がいる家庭では、入浴後に浴槽の水を抜きます。 消費者庁の溺水事故の注意喚起は、水を抜くことに加え、子どもだけで浴室に入れない対策や、洗面器・バケツに水をためたままにしないことを案内しています。風呂のふただけで事故を防げるとは考えないでください。
残り湯がある場合も、清潔な容器へくんだ水道水とは扱いが違います。飲用・調理・手洗い・食器洗い・体の清拭をまかなう水として当てにせず、自治体の案内で認められた用途を確認します。トイレに使う場合も、先に排水できることの確認が必要です。
応急給水を受ける容器を用意する
平時に自治体の給水拠点と必要な容器を調べ、災害時には実際に開いている場所・時間・配布条件を確認します。容器は清潔に保ち、ふたができ、自分で運べる容量を選びます。10Lは水だけで約10kgあり、さらに容器の重さが加わります。
容量に加えて、持ち手、注ぎ口、洗いやすさ、保管寸法も製品の説明で確認します。空の容器や「給水でもらう予定」の水は、いま確保できている水量に加えません。
飲用不可の水を誤って飲まない管理
飲用できる水と、それ以外の用途へ分けた水は、容器・置き場所・表示で区別します。洗剤や薬品と離し、容器や水の保管条件に合う場所へ置きます。「生活用水」とだけ書くより、確認できた用途を記しておくと使い間違いを防ぎやすくなります。
- 水の由来と、くんだ日を記す
- 「飲用不可」と、確認できた使用先を分かるようにする
- 入替え予定日や、まだ確認できていない点を残す
- 開封した飲料水を、未開封の備蓄本数へ戻さない
文字を読みにくい家族がいれば、色・形・置き場所も含めて区別を共有します。市販品へ補助ラベルを付ける場合は、元の保存方法や期限表示を隠さないようにしてください。
用品の手持ちと、使用後のごみまで考える
手や体を拭く用品、食品用ラップ、紙皿、携帯トイレは、水を使う場面を減らします。ただし、用品を増やすほど使用後のごみも増えます。人数と使う場面から必要な分を考え、手持ちを確認してから足します。
使用期限・保管方法・肌への使用可否を確かめ、火気から離して使う製品はその注意を守ります。ごみ回収が止まる場合に備え、袋と一時保管場所も決めておきます。断水中の分別・排出は自治体の最新案内に従ってください。
水の入替えと、住まいの点検を分ける
くみ置き水の入替えは、水道事業者の案内に合わせます。半年ごとの防災点検まで待ちません。使うときにも日付や保管状態を確かめ、漏れ・汚れ・変形などの異常があればそのまま使わず、容器の取扱いと水の状態を確認します。
住まいの点検では、給水場所、管理会社の連絡先、下水・ごみの案内、運べる容器の大きさを見直します。引越しや家族の変化があったときは、子どもの水回りへの接近や、介助に必要な用品も確認してください。
今日やること:一つの用途と確認先をメモする
まず「手を清潔に保つ」など、自宅で先に備えたい用途を一つ選びます。その下に、使える水の確認先、手元の代替用品、足りない物、置き場所を書きます。くみ置きを選ぶなら、水道事業者の方法と入替え時期を調べてから準備しましょう。
まだ水の用途を確認できないときは、その欄を「未確認」のまま残して構いません。容器の容量を合計する前に、何に使える水があるのかを一つ確かめる。それが生活用水の備えの出発点です。
よくある質問
生活用水は1人1日何リットル必要ですか?
一律のリットル数ではなく、使える水・代替用品を選び、1回に使う量や数、回数、備える日数から見積もります。飲料・調理用の1人1日3Lを生活用水にもそのまま当てはめず、同じ水を重ねて数えません。空の給水容器や用途不明の水も、使える水量に加えません。
浴槽の残り湯をトイレに流してよいですか?
災害後は排水管や下水道が使えるかを自治体・管理会社等の案内で確認します。使用できる場合も機種ごとの説明書に従い、確認できない間は携帯トイレを使います。残り湯があっても、トイレを流せるとは限りません。
くみ置き水を飲めますか?
平時の水道水を、水道事業者が飲用向けに示す方法・期間・保管条件でくみ置いたものは、飲料の備えに使えます。浄水器を通した水や沸かした水に同じ保存期間を当てはめません。期間を過ぎた水や保管履歴が分からない水を、見た目だけで飲用・手洗い等に使えると判断しないでください。




