この記事で解決したいこと災害用という名称や普段の水質だけで飲めると考え、自治体の登録・現地表示・災害後の確認をどう読めばよいか分からない

結論: 災害用井戸は名称だけで飲み水とは決めません。自治体の登録・所在地情報、現地の用途表示、所有者・管理者の提供可否、災害後の水質・設備確認を照合し、明示された用途だけに使います。飲用可能という現行の公的・管理者案内が確認できなければ、飲料、調理、食材・食器洗浄、手洗い等の口へ入る可能性がある用途には使いません。色・濁り・臭い、浸水、井戸・ポンプの破損があれば生活用水にも使わず、自治体等へ確認してください。

「災害用井戸」「防災井戸」「災害時協力井戸」という名前を見ても、飲める水だとは決められません。多くの制度では、断水中のトイレや清掃等へ使う生活用水として登録されています。さらに、登録済みでも災害後の水質・設備・水量・所有者の状況によっては利用できません。

使う前に、自治体の登録→現地表示→管理者の提供可否→災害後の状態→用途の五つを照合します。一つでも確認できなければ、近い用途へ自己判断で広げません。

災害用井戸は名称だけで飲み水と決めない

内閣官房の災害時地下水利用ガイドラインは、登録を進める災害用井戸・湧水等の主な使用目的を、飲用以外の洗濯、風呂、掃除、トイレ等の生活用水としています。水質等の条件が確保される場合は飲用利用も可能としますが、これは、すべての災害用井戸が飲めるという意味ではありません。

自治体ごとに制度名、登録条件、公開方法、提供時間、用途が異なります。たとえば横浜市の災害応急用井戸は、トイレ、洗濯、清掃等の生活用水として案内し、飲用、炊事、食材・食器洗浄、入浴等、口へ入る可能性がある用途には使わないよう示しています。

「生活用水」という同じ言葉でも、含める用途は地域で同じとは限りません。国の例示から用途を推測せず、利用する井戸の現地表示を読みます。

国のガイドラインは主に生活用水を想定する

断水時は飲料水だけでなく、トイレ、清掃、洗濯等に多くの水が必要です。災害用井戸は、備蓄水・給水車等の飲料水を温存しながら、地域の生活用水を補う役割を持ちます。

家庭の飲料水は水の備蓄量、手洗い・清掃等の水は生活用水の備えで別に確認します。井戸があるから家庭の飲料水備蓄を減らせるとは決めません。

自治体の登録・現地表示・管理者の案内を照合する

まず居住自治体の公式サイト、防災マップ、井戸一覧等で、対象の井戸が災害用として登録・指定されているか確認します。検索地図に「井戸」と表示されるだけでは、地域住民へ提供する災害用井戸とは限りません。

現地では次を確認します。

  • 自治体の指定・協力井戸であることを示す表示
  • 飲用不可、生活用水、使用できる用途等の注意書き
  • 災害後に提供中か、使用停止中か
  • 所有者・管理者へ声をかける方法
  • 利用時間、容器、人数・量等の現地ルール
  • 表示・案内の更新日

私有地内の井戸は、所有者等の協力で提供される場合があります。登録情報を見つけても、門や敷地へ無断で入り、ポンプを操作しません。所有者・管理者の意向と案内を確認します。

登録井戸でも災害後に使えない場合がある

横浜市は、停電、水量不足、機材の破損等により災害時に利用できない場合があると案内しています。さらに、地震・水害によって井戸周辺の浄化槽・排水設備が壊れたり、汚水が流れ込んだりすれば、水質も変わり得ます。

したがって、平時の登録・検査だけで災害後の利用可を決めません。次がそろってから使います。

  1. 自治体の登録・公開情報
  2. 現地の用途表示
  3. 所有者・管理者による提供開始
  4. 災害後の井戸・ポンプ・周辺の確認
  5. 自治体制度に沿った水質・見た目等の確認

飲用と生活用水は公的な用途表示で分ける

災害時の水は「飲用できる水」と「明示された生活用途だけに使う水」に分けます。透明に見える、においがない、普段は飲んでいる、近所の人が飲んでいるという理由で区分を変えません。

用途 確認の考え方
飲料・服薬 災害後の飲用可能が自治体・管理者から明示された水だけ
調理・飲料づくり 飲用可能の確認が必要。生活用水を使わない
食材・食器・調理器具の洗浄 口へ入る可能性があるため、飲用可または用途明示を確認
手洗い・洗顔・入浴 傷・粘膜・誤飲の可能性があり、現地表示で可否を確認
洗濯・清掃・散水 自治体・井戸の表示で認められた範囲だけ
トイレ洗浄 井戸側の用途と、排水管・下水道の使用可否の両方を確認

「生活用水だから身体にも台所にも使える」とまとめません。横浜市のように、入浴や口へ入る可能性がある用途を除く制度もあります。

飲用可の明示がなければ口へ入る用途に使わない

東京都の災害時の水の衛生資料は、地震・水害等による水質汚染のおそれがあるため、普段飲み水として使う井戸でも、水質を確認できるまでは飲み水・手洗い等へ使わないよう示しています。

飲用可能とする制度・井戸では、誰が、いつ、何を確認し、どの期間・用途で使えると案内したかを見ます。「平時に水質検査済み」の表示だけを、災害後の飲用許可に読み替えません。

乳幼児用ミルク、薬の服用、療養食、ペットの飲水も、飲用に準じて扱います。生活用水を「少量ならよい」と自己判断で使いません。

色・濁り・臭い・設備異常があれば使用しない

生活用水として案内されていても、次があれば使用を止めます。

  • 水に色、濁り、異物、泡、普段と違う臭いがある
  • 井戸のふた、立ち上がり、ポンプ、配管等が壊れている
  • 周囲が浸水し、汚水、油、薬品等が流入したおそれがある
  • 浄化槽、排水ます、下水設備等が破損している
  • 所有者・管理者が未確認または使用停止を案内している
  • 電動ポンプの電源、ケーブル、設備に損傷・漏電の危険がある
  • 夜間や立入制限等で安全に利用できない

水の状態を確かめるために飲んだり、皮膚へ付けたりしません。異常を所有者・管理者へ伝え、自治体の生活衛生・防災等の窓口案内へつなぎます。

見た目がきれいでも水質を自己判定しない

透明で無臭でも、微生物、化学物質等を見た目だけで確認することはできません。家庭用の簡易試験紙で一項目が基準内だった、所有者が普段使っているという情報だけで飲用可にはしません。

横浜市は、制度に沿って所有者・管理者が試験紙や目視で確認した後に提供し、異常時は使用しないよう案内しています。それでも用途は生活用水であり、簡易検査を受けたことを飲用可へ広げていません。検査の意味も自治体制度ごとに確認します。

所有者の確認後に清潔な容器で必要量を受け取る

提供中で用途を確認できたら、所有者・管理者の案内に従い、清潔でふたのできる容器を持参します。列や受取場所では、施設の動線と一回量を守り、必要以上に確保しません。

受け取る前に次を決めます。

  1. 何の用途へ使うか
  2. その用途が現地表示で認められているか
  3. どの容器へ入れるか
  4. 自宅でどこに置くか
  5. いつまでに使い切るか、更新案内をどこで見るか

運搬中に容器が汚れた、ふたが外れた、別の水と混ざった場合は、用途を勝手に広げません。汚染が疑われる時は使わず、管理者へ確認します。

飲用水の容器と生活用水の容器を分けて表示する

生活用水は、備蓄水や給水所の飲料水と別の容器に入れます。容器へ大きく「飲用不可」「用途」を表示し、置き場所も分けます。子ども、高齢者、支援者等が見ても区別できるよう、家族全員へ共有します。

  • 飲料水のペットボトルへ生活用水を詰め替えない
  • 同じ色・形の容器なら大きな表示を付ける
  • 食品・食器の近くへ置かない
  • 使用中のバケツ、洗剤容器等へ直接入れない
  • 誤飲やペットの飲水が起きない場所へ置く

持ち帰った後も、井戸の水を飲用水へ混ぜません。

トイレ等へ使う前に排水可否も確認する

井戸側がトイレ洗浄を認めていても、建物内の排水管や下水道が壊れていれば流せません。地震後の集合住宅では、別住戸への汚水漏れにつながる場合もあります。

井戸の用途表示と、自治体・建物管理者の排水案内を別々に確認します。排水不可・未確認なら、トイレへ流さず携帯トイレ等へ切り替えます。復旧後の上水道確認は断水復旧後の水道の使い始めへ分けます。

煮沸・浄水器・漂白剤で飲用化しない

生活用水として提供された井戸水を、家庭で煮沸、浄水器、携帯ろ過器、漂白剤等により飲用可能へ変えられるとは案内しません。方法ごとに除ける対象が異なり、災害時の化学汚染や設備破損等を家庭で判定できないためです。

飲料水が不足した時は、生活用水を自己処理する前に、自治体の給水所、給水車、避難所・支援拠点、在宅避難者向けの配布案内へつながります。在宅避難の備えも、物資・支援へ接続できる状態かを含めて見直してください。

今日、自治体の災害用井戸を一か所確認する

居住自治体の公式サイトで「災害用井戸」「災害時協力井戸」「防災井戸」等を検索します。一か所見つけたら、住所だけでなく次の五欄を家族メモへ書きます。

  1. 制度名と自治体
  2. 所在地と所有者・管理者への確認方法
  3. 飲用可否と認められる生活用途
  4. 災害後の提供開始・停止を確認する場所
  5. 公式情報の更新日

今日は現地へ無断で入り、ポンプを動かす必要はありません。公式情報で用途と利用条件を確認するところまでです。

よくある質問

災害用井戸の水は飲めますか?

名称だけでは飲めません。国の災害時地下水利用ガイドラインは登録井戸等を主に生活用水向けとし、水質等の条件が確保される場合に飲用利用もあり得るとしています。現地表示と自治体・管理者の災害後の案内で飲用可能と明示されない限り、飲料・調理等には使わないでください。

井戸水を沸騰させれば飲めますか?

沸騰だけで化学物質、濁り、災害による汚染等を除けるとは限らず、飲用可能の確認にはなりません。家庭での煮沸・消毒・浄水器を自治体の飲用可判断の代わりにせず、飲料水は備蓄水、給水所等の公的に案内された水を使ってください。

災害用井戸の水で手を洗えますか?

自治体・井戸ごとの用途表示を確認します。東京都の災害時衛生資料は、水質確認前の井戸水を飲み水・手洗い等に使わないよう案内しています。横浜市も、口へ入る可能性がある用途を生活用水から外しています。手洗い可を自己判断せず、現地の用途表示を優先してください。

災害用井戸の水でトイレを流せますか?

トイレ洗浄を用途として明示する災害用井戸はありますが、井戸水を使えることと排水管・下水道を使えることは別です。自治体・所有者の用途案内に加え、建物管理者や下水道の排水可否を確認してから使用してください。

登録されている災害用井戸なら必ず使えますか?

必ずではありません。停電、水量不足、ポンプ・井戸の破損、浸水、色・濁り・臭い等により、登録井戸でも災害後に提供できない場合があります。所有者・管理者の提供開始と現地の最新案内を確認し、無断で敷地へ入ったり取水したりしないでください。