この記事で解決したいこと安全を守りながら、建物外部・室内・被害箇所・浸水高をどの順番と距離で記録すればよいか分からない

結論: 撮影は、自治体や消防等の案内で建物と周囲の安全を確認してから始めます。安全な範囲で、片付け・修理前に①建物外部を周囲から、②被災した部屋の全景、③被害箇所を周囲との関係が分かる写真と寄り、④浸水高や割れ・変形の大きさを尺度とともに残します。原本は加工せず複数の場所へ保存し、必要な写真・提出方法は被災地の市区町村の最新案内で確認してください。写真は被害認定や交付結果を保証するものではありません。

災害で住まいが被害を受けたら、安全を確認したうえで、片付け・修理・廃棄の前に、建物外部と室内を「全体から寄り」の順で撮影します。

建物外部は可能なら周囲から、室内は被災した部屋ごとの全景と被害箇所を残します。浸水高、割れ、変形等は、周囲との関係が分かる写真に加えて、メジャー等を添えた寄りも撮ります。原本を消さずに保存し、必要な写真・提出方法は被災地の市区町村の最新案内で確認してください。

最初に撮影できる安全な状態か確認する

写真より先に、人の安全を確認します。地震直後の初動や自治体・消防等の現行案内に従い、避難が必要な状況では撮影を始めません。

  • 建物が傾いている、壁・屋根・天井が落ちそう
  • 余震、火災、ガス臭、漏電、切れた電線の危険がある
  • 浸水が続いている、流れがある、足元や水中が見えない
  • 土砂、擁壁、崖、倒木等が動くおそれがある
  • 有害物質、油、汚水、粉じん等へ安全に近づけない

一つでも危険があれば、建物や規制区域へ入りません。「写真がないと申請できない」と決めつけず、安全な場所から自治体の罹災証明窓口へ事情を伝え、代わりに残せる資料を相談します。

応急危険度判定と罹災証明の被害認定は別の確認

建物へ立ち入れるかを見る応急危険度判定と、罹災証明書のために住家の被害程度を調べる被害認定は、目的が同じではありません。貼られた表示の色だけで申請結果を予想したり、「調査前だから入ってよい」と判断したりしないでください。

在宅避難を続ける条件も、写真の有無ではなく建物・生活・健康・情報の安全から判断します。

片付け前に住所・日付・撮影順を一つのメモへ残す

安全を確認できたら、物を動かす前の状態を記録します。先にスマートフォンやカメラの日時設定を確認し、次の情報を一枚のメモへまとめます。

  • 被災した住まいの住所
  • 災害名と被害に気づいた日
  • 撮影日と撮影した人
  • 外部を回った方向と、撮れなかった方向
  • 撮影した部屋名と被害箇所
  • 片付け・修理を始めた日時

このメモは罹災証明の全国共通様式ではありません。写真を後で並べ直す時に、「どの住まいの、どの部屋の、何を写したか」を見失わないための整理用です。

撮影前に物を元へ戻さない

倒れた家具や散乱物を、見た目を整えるために戻しません。浸水の跡を拭く、壊れた部材を捨てる、壁紙や床材をはがす、修理業者に交換してもらう前に、元の被害状況を安全な位置から残します。

ただし、避難経路を確保する、人を救助する、火災や漏水を止める等、安全のために必要な対応は写真より優先します。

建物外部は可能なら周囲四方向から全景を撮る

政府広報オンラインの被災時の行動と内閣府の案内では、建物外部をそれぞれの方向から撮影し、浸水時は高さが分かる写真を残すよう示しています。

安全に回れる場合は、建物全体が画面へ入る距離から、正面・背面・左右等の周囲四方向を撮ります。

  1. 道路や隣接物との位置が分かる距離から建物全体を撮る
  2. 壁、屋根、基礎、窓、出入口等の被害がある面を撮る
  3. 被害面全体と損傷の位置が一緒に分かる写真を撮る
  4. 近づいて安全なら、損傷箇所の寄りを撮る

四方向は「危険でも必ず回る」という意味ではありません。立入規制、浸水、がれき、電線、崖等で回れない方向は撮影せず、撮れなかった理由をメモします。

全景だけでも寄りだけでも足りない

寄りの一枚だけでは、それが建物のどの部分か分かりにくくなります。反対に、全景だけでは割れ幅や浸水高を読み取りにくくなります。

同じ被害を、建物全体→被害がある面→被害箇所の三段階で残すと、位置と程度を結び付けやすくなります。

室内は部屋全景から被害箇所の寄りへ進む

室内へ入ってよいと確認できた場合だけ、被災した部屋ごとに撮影します。

順番 撮る内容 写真で分かること
1 出入口付近等から部屋全体 どの部屋で、どの範囲に被害があるか
2 被害を含む壁・床・設備の範囲 被害箇所と周囲のつながり
3 割れ・剥がれ・変形・浸水跡等の寄り 被害の状態と大きさ
4 メジャー等を添えた寄り 高さ、長さ、幅の目安

内壁、床、窓、出入口、サッシ、台所、洗面、トイレ、浴室等、被害を受けた部屋・箇所を順に記録します。暗い場所で無理に進まず、足元の釘・ガラス・段差・濡れた配線へ近づきません。

部屋名と撮影方向をそろえる

「1階リビング・入口から」「2階寝室・窓側から」のように順番を決めると、後で写真を見返しやすくなります。紙へ文字を書いて現場に置くことが危険なら、撮影後にファイル名やメモで整理します。

家族が別々に撮る場合も、同じ箇所だけが重ならないよう、外部、1階、2階等の担当を分けます。

浸水高や損傷の大きさは尺度と一緒に残す

浸水被害では、壁や柱に残った水位の跡を、部屋・建物との位置が分かる写真と寄りの両方で撮ります。安全に置ける場合は、メジャーや定規等を垂直に添え、目盛りが読める写真も残します。

割れ、穴、剥がれ、変形等も同じです。

  • 被害箇所を含む範囲の写真
  • 被害の端から端が分かる写真
  • 尺度を添えて目盛りが読める寄り
  • 同じ箇所を別角度から見た写真

メジャーを当てるために不安定な壁・床・家具へ触れたり、高所へ上ったりしません。尺度を置けない場合は、無理に近づかず、安全な距離の写真と理由を残します。

浸水した場所では衛生と電気の危険も確認する

水が引いた後も、汚水、カビ、薬品、滑り、床下の空洞、漏電等の危険があります。手袋や長靴だけで安全が保証されるわけではありません。自治体、消防、電力会社等の案内で立入りと電気設備の安全を確認します。

片付け・清掃の手順は本記事に広げず、公開後の専用記事へつなげます。先に被害を記録し、安全な作業条件が整うまで待ってください。

写真の原本を消さず二つ以上の場所へ保存する

撮影後は、ぼやけ、暗さ、被害箇所の漏れがないか、安全な場所で確認します。撮り直しのために危険な建物へ戻りません。

保存では次を行います。

  1. 撮影した端末に元データを残す
  2. クラウド、パソコン、外部媒体等、別の場所へ複製する
  3. 外部・部屋名・被害箇所の順にフォルダや一覧で整理する
  4. 共有用に加工する場合も、元データは上書きしない
  5. 片付け前・途中・修理前後の記録を分けて残す

通信が不安定な時は、アップロード完了を確認するまで端末から削除しません。SNSへの投稿をバックアップ代わりにせず、住所、顔、書類、車の番号等の個人情報が写り込んでいないかも確認します。

写真と一緒に短い記録を残す

写真だけで分かりにくい被害は、発見日時、部屋、状況、応急対応、撮れなかった理由を短く残します。修理や廃棄を始めた後は、作業前後の写真、見積書・領収書、自治体や業者との連絡記録等もまとめて保管します。

これらが罹災証明書の必須添付物とは限りません。何を提出するかは、市区町村の案内で確認します。

自治体の罹災証明案内で提出条件を確認する

罹災証明書は、市区町村が住家の被害状況を調査し、被害の程度を証明する書面です。写真は被害状況を伝える資料になりますが、写真を撮っただけで交付や被害区分が決まるわけではありません。

被災地の市区町村公式サイト・窓口で、次を確認します。

  • 対象となる災害と住家
  • 申請期間・受付窓口・オンライン手続きの有無
  • 写真・本人確認書類等の必要資料
  • データ形式、容量、印刷の要否
  • 現地調査、自己判定方式、再調査等の案内
  • 住家以外の被害に使う証明の扱い

自治体により「罹災証明」「り災証明」と表記が異なる場合があります。検索結果の古い災害ページではなく、自治体名、対象災害、更新日を確かめてください。

すでに片付けた・撮れなかった場合も早めに相談する

写真が十分でないからと申請や相談をあきらめません。残っている写真・動画、家族が撮った記録、修理前後の資料、見積書・領収書等を保管し、自治体窓口へ状況を伝えます。

写真だけで判断できるか、現地調査が必要か、代替資料を扱えるかは自治体と被害状況で異なります。本記事では申請結果を判断しません。

今日、撮影順の五項目を家族メモへ追加する

災害後に一から思い出すのは難しいため、平時の防災チェックリストへ次の一行を加えます。

安全確認→建物外部→部屋全景→被害箇所+尺度→原本を二か所保存

家族で担当を決める時は、家族防災会議で「撮影する人」と「自治体の現行案内を確認する人」を分けます。撮影担当が危険な場所へ戻らないことも、先に合意しておきましょう。

よくある質問

罹災証明のための写真は何枚必要ですか?

全国一律の必要枚数はありません。安全な範囲で、建物外部は可能なら周囲四方向、室内は被災した部屋ごとの全景、被害箇所は周囲との関係が分かる写真と寄りを残します。浸水高や損傷の大きさは尺度を添えます。必要枚数・形式・提出方法は被災地の市区町村の最新案内を確認してください。

危険な家の中にも写真を撮りに入るべきですか?

入りません。倒壊、余震、火災、ガス臭、漏電、浸水、土砂等の危険がある時は退避し、自治体、消防、建築・電気・ガス等の公式案内に従います。撮れなかった事情を市区町村へ伝え、安全確認後に可能な資料を相談してください。

片付けた後でも罹災証明を申請できますか?

申請の可否や必要資料は自治体と災害で異なります。撮影前に片付けてしまった場合も、残っている写真・動画、修理前後の記録、領収書等を保管し、市区町村の罹災証明窓口へ早めに相談してください。この記事では交付可否を判断できません。

被害写真は加工してもよいですか?

見やすくする複製を作る場合でも、撮影日時等の情報を含む元データは加工せず残しておくと照合しやすくなります。提出可能な形式、容量、印刷の要否は市区町村の案内に従ってください。